引越しが決まると手続きやら荷作りやらで大忙しになります。さらにペットを飼っている場合、その輸送方法も検討しなくてはいけません。
ペットはとても敏感。ただでさえ慌ただしい飼い主や部屋の状況の変化に戸惑ったり不安になってしまうペットもいます。
何よりもペットにとって大変なのは引越し当日。慣れない車や飛行機に乗ったり、飼い主との一時的な離ればなれを経験しなくてはいけない場合もあります。
なるべくストレスを与えないように、飼い主にとっても不安が残らないように、ペットの引越しをどうするのか事前に検討し、必要な場合は専門業者への依頼を済ませなくてはいけません。
まずは「ペットの引越し方法」にはどういったものがあるのか、それぞれの特徴や注意点などと共に紹介します。
ペットの引越し方法
方法 | メリット | デメリット |
自分で | ・飼い主が運ぶのでペットにとって安心 ・低価格で輸送することができる |
・珍しい生き物や水中生物などの輸送は難しい ・公共機関を利用する場合、他の乗客に気を使わなければいけない |
引越し業者 | ・引越し全体を1つの業者で済ますことができる ・引越し業者からペット輸送の専門業者へ依頼をしてくれる場合もある(専門業者を探す手間が省ける) |
・引越し業者は動物輸送の専門家ではないため不安が残る ・輸送可能な動物が限られている |
専門業者 | ・動物輸送のプロが最適の方法で運んでくれる ・輸送可能な動物の種類が豊富 |
・自分で輸送専門業者を探す手間がかかる ・業者によっては輸送不可の動物もある |
それぞれの方法にメリットとデメリットがあります。
引っ越す距離だけでなく、ペットの体力やストレス耐性などを考える必要があります。
自分で運ぶときの注意点(公共機関・自家用車)
ペットは大切な家族なので、可能な限り自分の手で運びたいという人は多いです。自分で運ぶ運搬方法は2つ。
「ペットケージに入れて公共機関で運ぶ方法」と「自家用車で運ぶ方法」です。
具体的にどういった点に注意すれば良いか、見ていきましょう。
電車でのペット輸送
交通機関によって条件が異なる場合があります。詳細は利用予定の交通機関に問い合わせてください。
■料金相場・・・無料から280円程度
■受付条件(JRの場合)・・・
- 小犬・猫・鳩・小動物(猛獣やへびの類を除く)
- ペットケージに動物の全身が収納されていること
- ペットケージと動物を合わせて重さが10キロ以内であること
- ペットケージの長さは70cm以内、サイズは3辺合計が90㎝程度のもの
■注意点・・・
- 布製品などのソフトタイプのケースに入れた状態では利用できない
- ペットカートは持ち込めない
- 乗車中にペットがケースから飛び出さないよう細心の注意が必要
飛行機でのペット輸送
実際の料金、予約などの詳細は利用予定の航空会社に問い合わせてください。
■料金相場・・・
- 国内線(3,000円から6,000円程度)
- 国際線(数千円から数万円)
■受付条件・・・
- 犬・猫・小鳥・うさぎ・ハムスターなどの小動物
- その他の生き物については条件によっては機内に持ちこめる場合もある
- 持参したペットケージが強度のある素材でつくられたもので、航空輸送に耐えられるもの(航空会社によってはペットケージの貸し出しも行っている)
- 車輪付きのペットケージの場合は、車輪を固定できるもの、もしくは取り外しが可能なもの
- 通気性のあるペットケージで、ペットが中で十分に動けるスペースのあるもの
- ペットケージの大きさや重量制限は各航空会社により異なる(詳細は利用予定の航空会社にお問い合わせください)
■注意点・・・
- 季節によって預かることができない犬種などがある(ブルドックなど)
- 事前予約サービスなどを利用しない場合は、同意書の提出が必要な場合がある
- 到着まではペットと離れ離れになるため、事前に餌やトイレを済ませておくこと
- 搭乗前に水の補給準備を忘れないこと
- 乗り物酔いするペットもいるので、搭乗前に獣医などに相談する
■国際線の注意点・・・
- 国によってペットの出入国に関するルールが異なる
- 動物の輸出入に必要な書類が国により異なる(出入国許可証、輸出検疫証明書、健康証明書、輸入証明書など)
- 必要書類や受付条件などは、必ず渡航前に渡航先の大使館や検疫所に確認をとること
- 1機あたりの受付制限数がある(詳細は各航空会社まで)
- 同意書の提出が必要
- 乗り継ぎ地点も含めて餌や水の補給ができないので、前もって十分な量を与えておく必要がある
- 内容物がこぼれない水や餌の補給容器をペットケージに設置しておく
- 長時間のフライトに備え、ペットケージに保温シートを敷くなどの対策を施す
自家用車でのペット輸送
■料金相場・・・移動距離分のガソリン代
■条件・・・なし
■注意点・・・
- 安全面を考慮し、できるだけ助手席ではなく後部座席に座らせる
- タバコのにおいがペットの車酔いを誘発することがあるので、消臭スプレーなどを用意しておく
- 犬の場合は飛び出し防止のために、セーフティーハーネスやドライブボックスを利用する
- ペットのトイレ対策にペットシーツやタオルを用意しておく
- 長距離移動の際は必ずこまめに休憩をとる
公共機関を利用するにしても自分で運ぶにしても、一番留意しないといけないことは、思った以上に動物は敏感であるということです。
公共機関の騒音や飛行機でかかるGなど、初めての環境でペットは恐怖を感じてしまうかもしれません。
ストレスを感じやすい子の場合は、できるだけ自家用車など「飼い主がそばにいる環境」で運んであげることが重要です。
車がなくても、事前予約をすることで、「ペットの同乗が可能なレンタカーサービス」などもあります。
ただし、車という「大きな箱」を怖がったり、車酔いをしやすいペットもいるので、事前に車に慣れさせておくことも大切です。
どうしても車をストレスに感じるような子であれば、無理に移動させず、まずは獣医など専門分野の人の力を借りることも視野に入れましょう。
公共機関を利用してペットを運ぶ際には事前の準備が必要です。
受付条件などに不明点があるまま引越しを行った場合、当日では対応してもらえないケースもあるかもしれません。
前もって利用予定の交通機関に問い合わせることで、時間だけでなく気持ちにも余裕を持って、スムーズに引越しを行うことができるでしょう。
引越し業者への依頼するときの注意点
引越し費用が安ければ嬉しいですが、それより大切なのはペットを「安全」に運んでもらうことです。
「ペットにとって」最適な方法を選べるよう、見積もりは数社を比較することをおすすめします。
■料金相場(例:ヤマトホームコンビニエンスの航空機併用便の場合)・・・
- 大型犬:東京→大阪 45,600円〜
- 猫:東京→大阪 38,000円〜
料金は動物のサイズや運搬距離だけでなく、一台で最後まで運ぶ直航便、トラック併用便、航空便利用などで大きく変わってきます。
実際の料金は各引越し業者に見積もり依頼をして、比較してみましょう。
■制限・・・
- 生後○ヶ月未満の動物は輸送不可など、各業者により規定あり
- 運搬不可の犬種がある業者もある
- 島しょ部は輸送対象のエリア外になることがある
- 水生動物などに対応していない業者もある
■注意点・・・
- 運搬中はペットと離れ離れになるため、ペットの体調などを把握できない
- ストレスを感じやすいペットを運ぶ際には、まず獣医などの専門家に相談しておく
- 引越し業者によっては、輸送時のペットの扱いや環境にやや不安が残る場合がある(動物の取扱専門スタッフではない等の理由)
- どういった環境でペットが運搬されのるか、事前に十分確認をとること
ペット輸送の取扱がある引越し業者
- ヤマトホームコンビニエンス(提携会社との提携サービス)
- アート引越センター(ファミリーサルーンという独自のサービスを提供)
- サカイ引越センター(専門業者に依頼)
- アリさんマークの引越社(専門業者に依頼)
- ハート引越センター(専門ノウハウを持つ輸送スタッフによるサービス)
こうして見てみると、引越し業者が直接ペットを運ぶケースは少ないことがわかります。
オプションという形で引越し業者が「専門業者に依頼する」ことが多いです。
例えばアート引越しセンターの「ファミリーサルーン」は、「家族が家財道具と一緒に引越し先まで移動できる」引越しサービスです。
「ペットの同乗も可能」な特殊車両なので、安心して目的地まで運ぶことができます。引越し料金だけで、上記のサービスを受けられるのは1つのポイントではないでしょうか。(ただし、対応していない地域もあるため、詳細に関しては直接問い合わせてください。)
ここに紹介した引越し業者以外にも、「オプション」という形で「専門業者に依頼」している引越し業者はいくつかあります。いずれも見積もりの際にペットの輸送を条件にして比較してみてください。
また、いくつかの業者を絞り込めたら、引越し業者もしくは提携先の専門業者は「動物の扱いに慣れているか」を念頭において検討してみてください。
ペット輸送の専門業者への依頼するときの注意点
引越し業社でのペット輸送がどうしても不安という場合は「動物の扱いに慣れている」ペット輸送の専門業者に、直接依頼してみるのも1つの方法です。
引越し業者での一括依頼よりは多少手間がかかるかもしれませんが、大切なペットを安心して運んでもらうには依頼先を選ぶことは重要です。
■受付条件・・・
- 犬・猫・小動物・魚類・爬虫類・昆虫など、取扱対象は比較的幅広い(取扱対象は業者により異なる)
- 珍しい動物の取扱を行っている業者もある
■依頼の手順・・・
- 利用予定の専門業者に見積もり依頼
- 数社を比較し、最適な運搬方法を提供してくれる業者で予約
- ペットを預ける
- 現地でペットを迎える
- 支払い(支払いのタイミングは業者により異なる)
■注意点・・・
- ペットの体力を把握する(ストレスや車酔いに対する耐性、年齢によっては体力があるかどうか)
- 少しでも不安点がある場合は、まず獣医にペットの運搬方法について相談する
- 利用予定の専門業者の使用車両や運搬方法を十分に確認する
- 免責事項や承諾書の内容は熟読する(内容に納得がいかない場合は利用しない)
■オプション(保険など)・・・
※承諾書の内容に基づいた補償(詳細は利用予定の専門業者に問い合わせてください)
事故や怪我に対する治療費や損害賠償費の負担先は、トラブルの発生原因が運搬業者なのか第三者なのかで、大きく変わってきます。
また、ストレスや環境変化によるショック死などに対して、専門業者は基本的に責任を負えません。
免責事項や承諾書は、契約前に必ず熟読しましょう。不明点はできるだけ残さず、どうしても納得できない事項がある場合は、利用を控えることも考えましょう。
ペット輸送の専門業者の例
■ワンダフル
特徴 | 料金体系 |
・年間700件のペット輸送の実績 ・運転は動物取扱主任のベテランドライバーが担当 |
・輸送距離5Kmまで2,000円、以降1Km毎に200円 ・100Kmを超える場合、長距離割引が適用 |
■湘南ペットハイヤー
特徴 | 料金体系 |
・動物の輸送中のストレス軽減に対するこだわりがある ・ケージやリードで拘束しないフリーの状態で輸送 |
・直送便輸送価格 (例)東京都心→大阪市 58.000円 ・空輸発送代行(ペット体重5kg以下) (例)東京都心→関西空港 32.000円 |
■エイチケイペットタクシー
特徴 | 料金体系 |
・24時間365日年中無休対応 ・アライグマやサルなど珍しい動物にも対応している |
・輸送距離10kmまで4,500円、以降1Km毎に250円 |
■ワンニャンキャブ
特徴 | 料金体系 |
・信頼される26年間の実績 ・愛玩動物飼養管理士在籍 |
・中型犬1匹空輸 (例)東京品川区→大阪市 39,900円 |
移動距離にもよりますが、料金相場は引越し業者に頼むよりも比較的安いです。
また引越し業者を介さず、直接専門業者に頼むため、スタッフの顔が見えたりと気持ちの面でも安心できます。
ペット輸送の専門業者は、日々ペットタクシーなどのサービスを通して、様々なケースの送迎経験を積んでいます。
また、飼育方法など動物の知識にも長けているため、長距離輸送中も安心してお任せできるのではないでしょうか。
引越しの際、ペットが「荷物扱い」されることにどうしても抵抗を感じることがあります。
専門業者の場合、まずペットの「気持ち」に寄り添って、輸送方法の相談に乗ってくれることが多いのも特徴です。
環境の変化に驚いてしまうペットもいるので、ペットの元気を守るためにも信頼できる専門業者の利用を検討しましょう。
引越した後のペットの手続き
犬をペットとして飼育している場合、新しい住所地で「登録変更の手続き」をする必要があります。
また、新たに家族として迎えるペットの登録の場合は、「新たに飼育した日から30日以内」です。(各市区町村により届出先や必要書類が異なるので、事前に新住所地の役所に確認しましょう)
■届出先・・・新住所地の市区町村の役所窓口、保健所など
※地域により窓口が異なります。
■必要なもの・・・
- 前住所地で発行された飼い犬の鑑札
- 所在地等変更届
- 予防注射済票
- 印鑑
※地域や予防接種の摂取状況により必要書類が異なります。
所在地等変更届は、引越し先の役所や保健所で貰うことができます。また、役所の公式ホームページからダウンロードできる場合もあります。
新住所地で登録が済めば、新しい鑑札などが交付されます。新しい鑑札はできるだけ早く犬の首輪につけてあげましょう。そうすることで、迷子で保健所などに保護されても、飼い主をスムーズに見つけやすくなります。
まとめ
ペットは大切な家族の一員です。
最適の方法でペットの引越しを行うためには、「事前の情報収集」が何より重要。引越しの2ヶ月くらい前から、収集した情報を元に計画を練ることをお勧めします。
少しの手間を惜しまないことで、ペットのストレスなく、スムーズに新生活を始めることができるはずです。
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